株式会社Fuel Efficiency
食卓に並ぶ魚や貝などの水産物はわたしたちの生活に欠かせないものですが、日本の漁業は危機的な状況にあります。1984年には1,160万トンもの漁獲量を誇っていたものの、2015年は352万トンと最盛時の約3分の1にまで衰退しました。一方、世界的にみると水産物需要の高まりから漁業生産量は右肩上がりに増えており、2018年の総漁業生産量は1億7,900万トンを記録。国際連合食糧農業機関(FAO)によると2030年には世界の総漁業生産量はさらに増加し、2億400万トンに至ると予想されており、豊かな海洋環境に恵まれ、高いポテンシャルを持っているにも関わらず、日本は一国負け状態にあるといえます。
日本は地球温暖化の影響を強く受けており、この100年間で世界平均で0.56度とされている海面水温の上昇に対し、日本近海の年平均海面水温は、倍以上にあたる1.16度を記録しています。このため、高温を嫌う魚は日本近海に近づくことができず、排他的経済水域の外部に留まるため中国や台湾などの大型船にシェアを奪われてしまっています。
加えて、人口増に伴う食料需要の急激な拡大と気候変動による減産が加速するこの状況下において、漁業の効率化と構造改革をもって水産資源の管理に繋げていく事が急務です。
欧米においては魚の種類ごと、将来に渡って継続的に漁を行えるよう漁獲量を科学的に算出・管理しています。そうして割り出された許容範囲の漁獲量を漁師や漁船ごとに配分される仕組みが整っています。ICCAT(大西洋まぐろ類保存国際委員会)などの第三者機関による漁獲量に対する厳しいチェック・管理が徹底されております。そして、水産物の販売に関しても、第三者機関参加のもと、漁獲枠以上に獲られた魚は流通させない、また必要な需要に応じて必要な数量だけ供給する体制で運営されています。例えば、ノルウェーでは獲った魚は生産者を主体とし競売にかけられ必要に応じて販売されているのです。
2018年、70年ぶりの漁業法改正により、日本も遅れながらようやく行政主導による資源管理が本格化しました。しかし、科学的なデータの不足、公正な漁獲枠の分配、スピード感や現場漁師への浸透不足など、具体性に欠けるのが現状です。
海外に比べて水産資源管理に乗り出すのが遅れた日本において、水産物の流通は、水揚げ後に産地市場を経て消費地市場に集約される「単一的な流通構造」です。また漁師は自分たちで価格を決定出来ず、市場相場で取引を行う以外の手段がほぼほぼありません。漁師の間では「獲った者勝ち」の意識が残っており漁獲量優先の漁が行われています。
漁師が海から獲った水産物が私達の食卓に届くまでに、市場や仲卸業者が複数介入。中間マージンが4~5回発生することで、漁師の収益は最終小売価格の20%~25%程になります。さらに、コロナウィルス蔓延による飲食店需要が激減している状況下で魚介類の取引値も暴落してしまい、漁師の置かれている状況は一層悪化しています。コロナ禍の様な有事の際や資源が減ってきているこの状況の中、既存の流通に加え「新たな選択肢」としての新しい流通の構築は不可欠になります。
また、日本の漁業においては後継者不足も深刻な問題です。戦後100万人いた漁業従業者数は現在では約17万人まで減少し、8割以上が60歳以上と高齢化も進行しています。若い世代を呼び込むためには、新たな流通インフラ構築による漁師の収益構造改善と、水産資源に配慮した持続可能な漁業の道を切り開くこと、そして新しい日本の漁業の形を広く発信していくことが重要です。
当社はまず水産資源の保護のために、漁船で活用できる独自のエンジンオイル「スマートオイル」を開発しました。あらゆるエンジンの駆動に必要なエンジンオイルですが、陸上走行のための車両等に比べ市場規模が限られることから、漁船用のエンジンオイルは大手石油メーカーからの注目を浴びづらく、製品改良が進んでいない領域でした。
エンジンオイルは、エンジンが駆動する際のピストン運動を滑らかにするもの。従来のエンジンオイルは二次的化合物によって被膜を形成しています。そのため、金属の表面にある僅かな凹凸が影響し、ピストン運動で金属間の接触により摩擦が起き、オイルが不足した際にはエンジンが「焼きつく」現象が生じてしまいます。
当社が開発した「スマートオイル」は、金属同士の摩擦を防ぎ、エンジンの性能を画期的に高めることに成功しました。「スマートオイル」は、金属表面の微細な気空まで浸透し、金属との分子結合を起こします。金属自体の+イオンと独自成分の-イオンが結合する結果、金属表面とオイルが一体化し金属硬度が極めて滑らかに。摩擦が画期的に減少し潤滑効果が極大化されます。
また、ピストンの上下運動が円滑化することで、スラッジと呼ばれるオイルの燃えカスが発生しなくなります。スラッジが溜まるとエンジンの性能が大きく低下しますが、「スマートオイル」ではその心配がありません。その結果、燃費が15%~20%向上、CO2を15%~20%以上削減。更に酸化防止剤及び清浄・分散剤の働きにより高温での酸化を防ぐので、CO(一酸化炭素)を45%~55%以上削減と、今までにない性能と、環境への配慮を同時に実現します。
さらに当社は、業界の単一的な流通構造を変革するために、漁師のための新しい流通インフラ「ブルーフォーラム」を設立しました。この新しい市場において、漁師は直接買い手に魚を販売することができます。
これまでの流通では生産者と消費者の間が遠く、漁師は、自分が獲った魚がどこにいくらで届けられるのか知ることができませんでした。「ブルーフォーラム」では漁師自身が値付けをし、買い手を選んで販売できます。既存の流通経路と「ブルーフォーラム」を併用することで、漁師は新たな販売経路を獲得し、収益増が実現できるのです。
ゆくゆくは、魚の売買のみにとどまらず、トレーサビリティの確保(サプライチェーンの可視化)、AIを用いた水産物需給のマッチング、VRを活用した販売等、販売の効率化と管理を通じた水産資源の管理にも広げていく計画です。
「スマートオイル」の売上と流通市場「ブルーフォーラム」における販売手数料の2つが当社の収益源ですが、ユニークなのは、「ブルーフォーラム」に加盟する漁師に、当社の製品「スマートオイル」を使用してもらう点にあります。
CO2削減に寄与し環境に優しい当社のエンジンオイルを使用して捕った魚を「CO2削減に貢献する魚」としてブランド化。魚価を高めて「ブルーフォーラム」内で販売してもらいます。従来の水揚げ価格より高い価格で魚を売ることができれば、漁師は生活のために目の前の魚を獲り尽くしてしまうような漁獲量優先の漁業を行わずに済み、負のスパイラルからの脱出により近づけます。
当社は「ブルーフォーラム」で売買される金額のうち、売価の10%を販売手数料として受け取ります。これまで、複数の卸業者や流通業者の介入により安く買い叩かれていた漁師のために、魚の価値を高めるブランディングを行ったうえで手数料を極力抑え、顔の見える買い手に直接販売できる環境を整備することが当社の役割です。各漁業協同組合のご協力をいただき、共存・共栄の体制を築いています。
当社は2017年の設立当初から、スマートオイルの販売を通じて燃費削減の計測とそれに伴う漁師へのコンサルティング活動も行ってまいりました。現場の漁師の皆様にとって、痒いところに手が届く細かい支援を長期間行ってきたことで、一朝一夕には築くことの出来ない信頼を得られていると自負しています。
現在「ブルーフォーラム」に加盟している漁師は350社、漁船数は約1,000隻にのぼり、安定して水産物を仕入れられる体制が整いつつあります。他の食品ECサイトと違い、スマートオイル販売で得た強いネットワークにより、瞬時の情報共有と拡散、また仕入の窓口として漁師さんと買い手企業の間で強い調整力を発揮します。当社は今後積極的なSNS等の活用に加えて、漁業における地域ごとのリーダーと協力し、提携漁師を拡大する計画です。
日本の漁業においては、平均一地域あたり10隻程度の漁船が所属しており、組織の中心となるいわばリーダーのような存在の漁師さんが必ず存在しています。各地域におけるリーダーを通じて、効率的に「スマートオイル」及び「ブルーフォーラム」を広めてまいります。漁業はその体質上、地域、魚種、漁法による隔たりが大きいものの、漁場においては無線等により情報交換が活発になされることから、「スマートオイル」の商品力および「ブルーフォーラム」の価値を口コミで拡散してもらっています。
現在、日本で消費される水産物のうち50%を占める輸入水産物の価格が上がってきています。輸送コストの増加、現地人件費の高騰に伴うもので、この傾向は今後も継続すると見られていることから、国産魚への回帰の動きが目立ちます。また市場法の改正やブランド化、流通経路の可視化の観点から産直が注目されています。しかし、大量の水産物の入荷を期待する大手買い手が、各エリアに点在する産直に個別に出向き、漁師と交渉するのは現実的ではありません。この国産魚の売買を「ブルーフォーラム」で一元化することで、売り手の漁師にとっても買い手にとっても便利な流通インフラとしての価値を高めてまいります。
養殖を除いた日本における水産物の生産量は315万7000トン。その内訳は沿岸漁業:87万トン、沖合漁業:202万トン、遠洋漁業:26万トンと、沿岸・沖合漁業が大半を占めるのが日本の漁業の特徴であるため、「ブルーフォーラム」拡大に向けては沿岸・沖合漁業を行う漁師との関係構築が重要になるため、沿岸漁業および一部の沖合漁業のが盛んなエリアを中心に営業活動を行う計画です。
「ブルーフォーラム」は流通市場であることから、当然買い手の確保も重要になりますが、水産物の国内消費志向量568万トンのうち、60%は加工品需要です。そのため、水産物加工メーカーにとって信頼できる水産物の入手経路の確保は重要な課題ですが、国産魚の需要が高まる中、「ブルーフォーラム」は既に複数の食品メーカーからの打診を受けており、商品開発にも着手しています。
さらに、昨今のSDGsの認知拡大に伴い、企業はブランド構築の観点から事業の”持続可能性”に注目する動きが強まっています。私達の「CO2削減に貢献するお魚」は鮮魚販売を行う企業からも好評を得ており、鮮魚販売チェーンや豊洲仲卸と取引を開始しました。さらに、大手食品商社と協業で「CO2削減に貢献するお魚」を活用した商品開発にも着手しており、SDGsに通ずる商品としてコンビニや量販店にて展開する予定です。
日本漁業のチャンスは国内に留まりません。漁業産出額1兆4676億円に対し、加工出荷額は3兆1225億円、輸出額は2,276億円に達しています。近年、中国・香港を中心とするアジア地域の水産物需要の拡大を受け、農林水産省および水産庁も輸出を奨励しています。
当社はこの水産物需要を捉えるべく、2022年1月に開設予定の新成田卸売市場を通じ、水産物の需要が伸びる海外市場へ「ブルーフォーラム」のコンセプトを起用した水産物販売のための協業も開始しました。アジア圏に強いパートナーと共同で「ブルーフォーラム」ブランドの浸透を目指してまいります。
約15億リットルにも及ぶエンジンオイルの年間需要のうち、船舶に限ると約5%、約8400万リットル程度と想定できます。沿岸・沖合・遠洋と航行距離により漁船の大きさが変動しますが、1トン~19トン規模の沿岸漁業用の漁船が最も多く、約125,000隻にのぼり、エンジンオイルの消費量も大きいため、まずはこの市場を中心にシェアを拡大する計画です。
燃油価格高騰による経費圧迫、船舶のメンテナンス費用削減を実現する「スマートオイル」が業界に普及し、水産業のスタンダードになれば、日本の水産資源の環境が改善するとともに、使用される漁師の意識改革にも通ずると考えています。
この「スマートオイル」の性能の核となる添加剤成分を生産するには、配合量・順番が多岐にわたるだけでなく、技術漏洩の防止策として生産の過程をブラックボックス化(生産の工程を分けている、添加剤の原材料の調達も複数箇所から)しており模倣対策は万全です。
エンジンオイルを強みの一つとする当社ですが、船舶エンジンのEV化という外的リスクは否めないと考えています。しかし、漁船に使用できるEVエンジンの開発から普及に至るまでは10年以上の期間を要すると予測され、技術的な障壁は非常に大きいといえます。当社の「スマートオイル」も石油製品である事に変わりはなく、長期的に見れば将来的に船舶エンジンのEV化も達成されるものと想定しています。
ただそちらは業界においては向かうべき方向であり、スマートオイルが業界にてスタンダードになればEV化へのムーブメントが加速し大きな業界の底上げに繋がります。「スマートオイル」は、日本でのブランド化の後、ASEANや環境意識の高いヨーロッパへの展開も視野に入れております。
その将来に備え、あくまで次の世代までのバトンとしてスマートオイル普及に努めながら流通インフラ「ブルーフォーラム」を展開し、事業の中心を「ブルーフォーラム」に据えることで事業規模を拡大する計画です。また、プラットフォーム事業の強みともいえる新規事業の創出力を武器にできるよう、計画的な人材採用も行っていきます。
地理的にも多くの県の船が集まり、水揚げ量年間16万トンと、全国の約2割のシェアを誇る瀬戸内海の漁船を中心に営業活動に取組み、2022年度中に2000隻の「ブルーフォーラム」導入を目指します。
同時に「ブルーフォーラム」における販路拡大も行ってまいります。2022年度は取引量年間750トンを目標としており、すでに取組みがスタートしている生鮮の流通・販売に加え、新たな販売先の獲得に向けた営業活動も進行しています。水産物需要の6割は冷凍・加工品であることから「サステナブルな水産物」という商品力を活かした企画開発へのお引き合いが増えており、コンビニやその他量販店での販売を見据えて大手食品メーカーと販売テストも開始しています。
より安心して魚を食べられる環境を整えるべく、「ブルーフォーラム」の機能をアップデートしていく計画です。AIを用いた水産物需給のマッチング、気象情報や海の情報を基に魚の現在地の分析などに通じた漁業の手助けとなるツールを開発する計画です。効率的かつデータに基づいた操業に近づけば、「スマートオイル」の普及以上のCO2削減効果が期待できます。これに加えて、サプライチェーンの可視化によるトレーサビリティの確保を実現することで、日本の漁業の水産資源管理にも取り組んでまいります。
日本の水産資源の管理に乗り出すことに加え、VRやライブコマースを通じた魚介類の販売など、漁師と消費者を直接結ぶ新しい流通システムを構築してまいります。これにより、生産者の収益向上という業界課題解決と、2024年までの年間水産物取引量7000トンと参加漁師数7000名を達成につなげ、IPOを目指します。
数値計画の詳細につきましては、こちらの書面をご覧ください。
新株発行概要書代表取締役
岡田 康成
1986年生まれ。法政大学キャリアデザイン学部を卒業。卒業後、シンガポールのBetter Will Holdingsに入社、同社の役員を経て2017年に独立し、Fuel Efficiencyを設立。設立当初から現場に立ち、日本漁業の抱える課題とその重要性を感じてきた。「エンジンオイル販売を通じ日本の漁業に貢献したい」思いから、かねてから構想していたブルーフォーラムを2020年にスタート。
プロジェクトリーダー
伊東 崇司
1993年生まれ。青山学院大学経済学部を卒業。2017年、Fuel Efficiencyの設立と同社に入社、マーケティングと営業を担当。ブルーフォーラムプロジェクトでは水産物販路の開拓と販売を進行、販売企画やプロモーション企画も行っている。趣味はスキューバダイビング。
プロジェクトサポートチーム
今村 太郎
マーケティング及び、システム担当
プロジェクトサポートチーム
鈴木 栄美子
広報担当
・2017年5月31日 日刊水産経済新聞
・2018年8月20日 日刊水産経済新聞
・2019年7月20日 北海道新聞
・2019年10月4日 みなと新聞
・2019年10月14日 週刊水産新聞
・2019年10月21日 水産タイムズ
・2019年11月17日 環境新聞
・2020年5月18日 週刊水産新聞
・2020年7月20日 週刊水産新聞
・2020年7月31日 中部経済新聞
・2020年9月20日 環境新聞
・2020年10月12日 みなと新聞
・2020年11月 オルタナ11月号
・2021年7月5日 週刊水産新聞
・2021年11月 オルタナ11月号
10株 100,000円単位
払込金額の総額(上限募集額を発行の場合)35,000千円のうち、発行諸費用として約7,122千円を差し引いた後の手取概算額27,877千円について、約17,877千円はブルーフォーラムのシステム開発費に充当し、残額の約10,000千円を遠洋漁業船向けに販売するスマートオイルの製造費として充当いたします。
払込金額の総額が、7,000千円(目標募集額を発行の場合)以上34,900千円以下であった場合、発行諸費用を除く手取概算額(5,325千円~27,792千円)は、ブルーフォーラムのシステム開発費に優先して充当します。残額がある場合は、遠洋漁業船向けに販売するスマートオイルの製造費に充当してまいります。
なお、事業計画は、目標募集額による調達及び第2回株式投資型クラウドファンディングによる公募並びに第三者割当増資の実施を前提に作成しており、目標募集額を超える調達が行われた場合は、次回の株式投資型クラウドファンディングによる公募又は第三者割当増資及び融資により調達する金額を調整する予定です。
自社による株主名簿管理となります。
以下において、発行会社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、重要であると考えられる事項につきましては、積極的な情報開示の観点から以下に示しております。発行会社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、リスクの軽減策を講じるとともに、発生した場合の対応に努める方針としていますが、本項の記載事項をご精読いただき、十分にご理解いただきたくお願い申し上げます。
以下において、発行会社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を記載しております。
以下において、発行会社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、重要であると考えられる事項につきましては、積極的な情報開示の観点から以下に示しております。発行会社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、リスクの軽減策を講じるとともに、発生した場合の対応に努める方針としていますが、本項の記載事項をご精読いただき、十分にご理解いただきたくお願い申し上げます。
以下において、発行会社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を記載しております。